利益を生むビジネスモデル

ビジネスを考える上で、最も重要なのは「お金をどう稼ぐか」です。「利益を上げていく仕組み」がなければ、どんなに優れたビジネスモデルでも継続できません。

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A町の観光情報を集めたポータルサイトを運営していますが、広告料以外の収入がほとんどありません。

最近は地元商店街の景気も冷え込んでいるので、情報発信による集客で地域活性化に貢献しつつ、他の収入源も開拓していきたいと考えています。

ネットの特性を活かして、どんな情報を掲載し、利益に結びつけたらいいでしょうか。(Gさん・サイト運営)

回答

日帰りのお客さんばかりだと、街は潤わないですよね。

熱海では今、カラオケチェーン『歌広場』などを経営するクリアックスが手がける伊東園ホテルグループが有名です。

経営不振で倒産して宿泊施設を次々と買収し、低価格ホテルチェーンに変えました。

「365日同一料金1泊2食付き」という方針ですから、季節料金のないビジネスホテル並の金額です。

その代わり食事は全部バイキング。

仲居さんがいないから、部屋にはすでに布団が敷いてあるなど、旅館やホテルで一番高い人件費を徹底的に圧縮してコストダウンを追求しています。

風情がないと思う人もいるでしょうが、設備は高級旅館やホテルのままということで、デフレ時代には断然うけます。

しかし、周辺の飲食店はたまりません。

格安ホテルで朝昼夕バイキングで済まされると、商売あがったりです。

そういったご時世で、地元を応援するポータルサイトとして収益を上げつつ、共存共栄で頑張っていきたいという意気込みは素晴らしいです。

ただ、前提としてサイト自身に集客力がないとだめです。

ある程度の投資も必要です。

どんなポータルビジネスをやるにしても、前提は集客力を持つために、ある程度投資をしなければならないことです。

第一にリンク対策です。

サーキュレーションを増やすには、とにかくあちこちからリンクを引っ張ってくることが必要です。

首都圏から観光客を誘致したいのなら、東京のポータルサイトからリンクを引っ張ってくる。

サイト自身のアクセス数が100しかなくても、1000万回アクセスされているサイトにリンクを張ってもらえたら、急速に数が増えます。

第二にSEO対策。

検索エンジンの上位にランクされるように投資しておかないと成果は上がりません。

第三はPPC(Pay Per Click)広告対策です。

「A町 グルメ」と検索したら検索連動広告に引っかかる。

GoogleアドセンスやYahoo!リスティングも料金が大分下がりましたから、最初に引っかかるくらいを目指して下さい。

ここからは、地域の観光情報を発信するポータルサイトとしてある程度のサーキュレーションがあり、先行投資と努力をしていくという前提で、具体的な対策を考えていきましょう。

まず、チャレンジしたいのは『チョイスボード事前注文システム』の導入です。

チョイスボードとは、DELLでPCを注文する時に出るようなメニュー画面のことです。

これを地元の飲食店の紹介と連動させます。

つまり、お店の紹介コーナーからチョイスボードで今日のメニューをチェックし、事前に注文できるという仕掛けです。

どういうメニューがあり、料金がいくらなのかがあらかじめ分かり、明朗会計です。

店側にとっては予約メニューが事前に分かるのでしっかり準備できる。余裕を持って料理を出せます。

ネット注文したお客様には、特典として10%の割引価格で提供し、ポータル側には手数料として売上の5%を払うシステムを取り入れます。

例えば、3人で合計1万5000円の注文をしたとすると、

お客様 1万3500円の支払い(1500円引き)
ポータル側 750円の手数料収入
店側 1万2750円の売上(定価の15%OFF)

客数の減少に悩んでいる飲食店にとっては、値引きの金額で手数料を払ってでもゼロよりはいいわけです。

注文が入れば食材が無駄になりません。

これは、地域限定だからこそ、ビジネスになり得るのです。

東京のお店なら、少し検索すればたくさん情報が出てきます。

これが地方になると、一部の有名店以外は情報が少なく、お店自体が知られていません。

ですからお店の紹介と明朗会計の予約注文ができるのは観光客にとって便利だと思います。

さらに割引特典まであれば、絶対ネット注文するでしょう。

季節のおすすめとか、お店の自慢料理とかが食べられればなお楽しい。

地元の飲食店にとってもいい販促手段になります。

注文情報は直接お店に流れるのではなく、ポータルサイトの事務局からFAXで知らせる仕組みにしておきます。

ポータル側で管理できますし、飲食店の現場でネットをチェックする余裕がない所がほとんどでしょうから、むしろその方が便利です。

地元の飲食店をまとめて紹介すればコンスタントに手数料が入ってくるでしょう。

これを『チョイスボード利益モデル』といって、DELLやamazonで利用されています。

次に取り入れて欲しいのがFacebookコマースです。

A町のポータルサイトならではの情報を発信するページを作り、名産品を販売していくのはどうでしょう。

ダイレクトにeコマースという手もありますが、成果を得るのは非常に難しいです。

品物を並べてもストーリーがないから、消費者に商品の良さが伝わりません。

でも、Facebookならブログ並の情報量を掲載できます。

「今日は残念ながら大雨でA町の花火大会は延期になってしまいました。今、A町で大好評なのがシシメンチ。シシメンチをご存知でしょうか? 昨年のB級グルメフェスタで入賞した人気商品なんです!」などと写真付きで紹介すれば、「へえ、そんな食べ物があるんだ」と興味を惹かれて食べたくなるでしょう。

そこで「いいね!」と思えば、Facebookから直接購入できるわけです。

ダイレクトな売り込みではなく、商品が生まれた状況や背景が分かるストーリーを絡めて興味を喚起し、共感を呼ぶ手法です。

これもナラティブマーケティングです。

単なる通販サイトではなく、Facebookで町の情報を発信してファンを増やしながら、商品の情報を盛り込んでいくのがポイントです。

ソーシャルメディアではあからさまな宣伝は共感を呼びません。

あくまでも地元の人間ならではの情報と絡めて、営業職を抑えながらアピールしていくのがコツです。

リアル店舗とeコマースの融合。こういうビジネスモデルは、『ハイブリッド利益モデル』に該当します。

生産者と提携して売上からパーセンテージを決めて手数料収入を得ていけばいいでしょう。

もう1つ、やってみる価値がありそうなのはレシピの集積です。

その家や集落で代々受け継がれてきた伝統料理や、現代風にアレンジされた郷土料理などが集まれば、地元の人たちも楽しめます。

個人のレシピ投稿で大成功を収めたのがクックパッドです。

月間ユーザー数は1500万人、登録レシピは100万以上になります(2011年10月現在)。

基本的なレシピ閲覧や投稿は、無料会員登録でできますが、より高度な検索機能などの『プレミアムサービス』は有料になります。

この有料会員化で収益を獲得していったのです。

これを『集合知利益モデル』といい、CGM(Consumer Generated Media)を集めることで、収益を上げていくモデルです。

CGMは消費者自身が自発的に情報を発信するメディアのことで、ブログやメールマガジン、掲示板、SNSなどが該当します。

最近は口コミや投稿がメインのサイトが珍しくなくなりました。

ところで、A町のレシピ投稿サイトで何を有料にするのか。

サイトを盛り上げるためには、まずたくさんレシピを募ります。

家庭料理の投稿・閲覧は無料ですが、有料会員向けに名店のレシピを映像付きで見られるのはどうでしょう。

もちろん、名店が協力してくれるかは交渉次第ですが、地元の人気店でもいいと思います。

プロのレシピは興味があるものですし、作り方を映像で見られたら、味のコツも分かるのでは、と。

簡単には公表しないでしょうが、素人が映像を見ただけで真似できるとも思えません。

料理への食欲や購買意欲をアピールできて店の宣伝になりますから、評判のメニューを持つ飲食店に参加してもらえれば共存共栄になると思います。

今までの話をまとめると、

  • チョイスボード利益モデル→飲食店とユーザーを繋いで手数料収入を獲得
  • Facebookコマース→名産品の販売で収入を獲得
  • 集合知利益モデル→名店レシピ閲覧で会員フィーを獲得

という3つの柱で収益を上げていく。

現在の広告料の他に新しい収入源が考えられるわけです。

1つずつ着手するだけでも収益が少しずつ改善されるでしょう。

また、これら全体を『プラットフォーム利益モデル』と呼ぶこともできます。

このケースの方法は全て、飲食店や生産者、地元の人々をポータルサイトというプラットフォームに巻き込んで利益を上げるモデルです。

ただ、このモデルで成功するには、No.1サイトを目指す必要があります。

圧倒的な情報量を蓄積し、インフラを整備しなければなりません。


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