利益を生むビジネスモデル

ビジネスを考える上で、最も重要なのは「お金をどう稼ぐか」です。「利益を上げていく仕組み」がなければ、どんなに優れたビジネスモデルでも継続できません。

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ある雑誌で『カリスマエステティシャン』と紹介されたのがきっかけで注目を集め、化粧品のオリジナルブランドを立ち上げました。

サロンでの販売の他、より多くの方に購入していただけるようネットショップも開きましたが、収益が全く安定しません。

ミセス対象の美容液が人気も売り上げも好調なのですが、他のアイテムの成績が良くないのでテコ入れしたいと考えています。(Eさん・サロン経営)

回答

ネットショップの『日月次売上』データや、商品ごとの売上本数、価格帯なども分かるといいのですが、データの記録や集計・分析ができていない『どんぶり勘定』な場合が多いのが現状です。

表計算ソフトに単純な計算式を設定して、毎日のデータを記録していけば、原価を引いた収益がいくらになるのか簡単にチェックできます。

それを週次、月次、四半期、半期、年次の売上で集計していきます。

これらのデータを見ていくことによって、ある程度問題点が明らかになります。

もし月によって売上にばらつきがあれば、メディアに露出した時だけ売れている、有名なブロガーが紹介した時に来客数が増えた、キャンペーンを実施した時に売れているなどの因果関係が見えてくるかもしれません。

日々のデータを蓄積して、中長期のスパンで売上の動向と購入者の傾向を歯アキしておくことが重要です。

次に、商品ごとの売上本数と価格を追っていけば、問題点がより鮮明になります。売れ筋商品と層で何商品を選別し、商品構成資料を作るのです。売上の凸凹を解消するには、まず商品の購入を『常態化』する戦略を仕掛ける必要があります。

ただ、基礎化粧品が売れていれば、毎日使うアイテムですからコンスタントな売上が維持できるはずです。

突出した人気アイテムがあれば、その商品を中心に基礎化粧品のラインアップを充実させるのが正解です。

美容液が好評なら、その前後の「ローションや乳液も一緒にお使いになることで効果が持続します」という言い方ができますし、メイクアップ系がうけていたとしても、そのベースになるスキンケアが大事というロジックが成立します。

メディアに登場する機会があるのなら、オリジナルブランドならではの総合ソリューションを提案すれば説得力があります。

毎日使うアイテムを強化すれば、コンスタントな売上が期待できますから、基礎化粧品の充実は有効な戦略です。

ネットショップの場合、購入を常態化させる方法として、ちょっとしたお得感を演出すると効果があります。

アドバンス利益モデルの導入もおすすめします。

今回のケースでは、まず「送料無料」を打ち出しましょう。

店頭販売と違い、ネットショップは送料が発生します。

店舗にとっては当然の経費ですが、お客様には商品代にプラスされる金額として割高に感じてしまうもの。

送料無料にした途端、売上が上がったというケースはよく耳にします。

送料は国内であれば数百円、沖縄や離島でも1000円程度です。

これを無料にして数万円の売上が得られるとしたら、わずかな投資だと思いませんか?

一時的に利益率は下がりますが、敷居はぐっと低くなり、初めてのお客様やリピート購入を誘発できます。

客数と売上の増加に貢献してくれるでしょう。

この傾向は『プロスペクト理論』でも証明されています。

平たく言ってしまえば「人間は得より損に敏感」なのです。

つまり、送料という小さな損に対して意外と敏感に反応してしまうというわけです。

ですから送料無料のサービスが響きます。

ネットショップではその傾向がより強いです。

また、2点以上の購入やシリーズで購入した時のディスカウントもおすすめです。

これも大きな値引きは必要ありません。消費税(5%)くらいで十分です。

小さなプレゼントをおまけにつけるなども検討してみて下さい。

人間は損に敏感ですが、ちょっとしたお得感にも弱いのです。

経済行動学の中の『心理会計モデル』といいますが、表現の仕方でお客様の反応が全然違います。

バーゲンセールなら値引き後の価格をアピールするより、元値に×をつけて表示した方がお得に感じます。

キャンペーン価格を打ち出す時も「20万円の商品が18万円に!」より、20万円に×か打ち消し線をつけて「マイナス2万円!」と書く方が突き刺さります。

割引率は同じでも工夫を変えると成果が違ってくることにも配慮して下さい。

半額セールなど思い切ったプライスダウンじゃないと効果がないと思いがちですが、やはりTVショッピングで繰り返されているような「今ならさらに○個おまけ!」手法がやはり強いです。

ところで、収益が安定しない原因として「原価率が高い」ことも考えられます。

ただ、原価率を下げるのはあまりおすすめしません。

原価を下げると商品価値まで下がってしまう場合が多いからです。

特に人気アイテムは品質自体が支持されているので、質をキープしていかないと固定客が離れていってしまいます。

有効なのは『価格バンドリング戦略』です。利益率が高い商品をそうでない商品のセット販売です。

分かりやすく言えば、人気商品と売れ残り商品の抱き合わせ販売をすることです。

この戦略には、在庫処分しながら売れ筋商品の販売数を増やす効果があります。

例えば、価格1万円の人気商品Aに、「一緒に使えばより効果的!」として価格5000円の売れ残り商品Bをつけたセットを作り、1万2000円で販売します。

普通に買うと1万5000円のところ、3000円も安い。

すると人気商品の魅力と割引価格のお得感に釣られ、購入へ誘導しやすいです。

人気商品の原価はいじらず、他の商品とセット販売して、大きな収益を獲得していくのが価格バンドリング戦略のメリットです。

ところが、通常は数量は出ているものの利益率をアップして収益構造を改善しようと考え、売れ筋商品の原価を落としがちです。

この手法は大体失敗します。特に飲食店に多いです。

おいしいハヤシライスで有名だとして、味の決め手は手間ひまかけたドミグラスソースと肉だったのに、これらの材料のランクを下げて利益率の向上を図ろうとしても、味が落ちたのに気付いたお客は離れていってしまいます。

看板メニューにキズがついては本末転倒です。

もう1つアドバイスがあります。

収益が上がらない原因として、顧客数の限定があるかもしれません。

ニッチすぎて客数が伸びない、あるいはターゲットに情報が届いていない可能性があります。

お客様層が明確なのは非常に強みです。

購入者の属性が分からないケースもたくさんありますから、ターゲットがはっきりしているほど戦略が立てやすくなります。

このお客様特性を活かす方策を講じましょう。

顧客を増やして利益を拡大していく『利益増殖モデル』です。特定の顧客層にターゲットを定めて客数を拡大する戦略を『顧客深耕』といいます。

通常は。同じ属性を持つ層に深く支持を広げていくのが鉄則です。

まずは東京、次は名古屋や大阪、その後地方へといったようにある、一定のターゲットに狙いを定めた全国展開を図るのです。

しかし、ネットショップではマーケットは最初から全国です。

エリアごとの波状攻撃はできません。

ですから、メイン購入者のお嬢さん、10代の女性向けの商品を売り出したらどうでしょう。

スキンケアは若い頃からスタートした方が絶対いい。

そこでお母様がお使いの商品をお嬢様にもいかがですかというロジックで、人気商品Aの10代バーションを作るのです。

価格を安くして、パッケージを変えるだけで中身は同じですから、コストもたいして必要ありません。

つまり、同じもので別商品を作り、収益を拡大していく戦略です。

1粒で二度おいしいわけです。

もちろん、単独で販売すればメインの顧客が安い商品の方に流れてしまいますから、主力商品を圧迫しない工夫が必要です。

若い世代向けに低価格で販売するパターンは、他のジャンルでもよくあります。

確立した第1市場があれば第2市場を作り、名目を立ててディスカウントする『第2市場ディスカウンティング』とも重複します。

カップヌードルやポッキーなど、食品ブランドのシリーズ化も利益増殖モデルの1つといえます。

また、化粧品業界でよく使われる『イメージプライシング』という戦略があります。

自動車の商品開発でもよく採用されますが、売れ筋の車種の上位機種を設け、別のブランド名でより高く販売するといった方法です。

グレードの高さを求めたくなるようなイメージを付加して展開します。

例えば、美容液をスタンダード版と位置づけ、美肌効果を強化したより高い価格の商品をプラスしていきます。

週1回のお手入れに使いたいプレミアム美容液、スペシャルケアのためのスーパープレミアム美容液みたいな位置づけて新商品を開発していくのです。

商品ラインアップに上位バージョンを展開していく手法は『製品ピラミッド利益モデル』に該当します。

朝用、夜用、休日用など、使うシーンを変えた切り口でアピールする手もあります。

これは、すでに獲得した顧客に対して、他の商品の購入を促す戦略です。

ファンケルはこの戦略で大成功しています。

最初は無添加化粧品で顧客を掴み、健康食品で業績を伸ばし、株式上場を果たしました。

イメージプライシング
スタンダード美容液 毎日のお手入れに
プレミアム美容液 週に一度のお手入れに
スーパープレミアム美容液 スペシャルケアに
朝、夜、週末など、使うシーンを買えた商品投入も考えられる

ここで整理しておきましょう。

収益が安定しない時はまず、次の4つの点をチェックして下さい。

  • 日月次売上→売上推移のデータを記録・集計して分析してみる
  • 商品構成表→商品ごとの売上額と本数を見て、売れ筋を見極める
  • 原価率表→原価が収益を圧迫していないか検討してみる
  • 顧客分析表→顧客属性を把握し、顧客層が限定されていないかどうか検討する

収益が上がらないのは「売上が月によって違う」「ある商品しか売れていない」「原価が高すぎる」「顧客が限られている」という原因が考えられます。

4つ目の顧客分析は、個人商店や中小企業では導入していない場合も多いです。

しかし、アンケートが取りにくいと思われがちな飲食店でも「誕生日特典がありますので、生年月日とご住所、お名前をご記入下さい」とお願いすれば、全て応じてくれるわけではありませんが、顧客情報が蓄積できます。顧客データを集計して分析すると、来客店数と消費金額が違うことが分かります。

1人の人が1000円のランチを月に10回来たとしても、月1万円ですが、接待のため月に1、2回来店し、1回ごと2万円(1人あたり1万円)支払ってくれるとしたら月2~4万円で、顧客単価は高くなるはずです。

ランチのお客様は顔なじみで常連感はありますが、優良顧客とはいえないわけです。


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