利益を生むビジネスモデル

ビジネスを考える上で、最も重要なのは「お金をどう稼ぐか」です。「利益を上げていく仕組み」がなければ、どんなに優れたビジネスモデルでも継続できません。

相談

相談

このエントリーをはてなブックマークに追加

歯科医になった時から、Uターンを視野に入れ、経験の蓄積と医院経営のノウハウを習得するため、都内の歯科医院で10年間働いてきました。

そろそろ故郷の仙台で独立開業を考えています。

ただ、歯科医も競争が激しい時代ですから、入念な事業計画が必要でしょう。

地元での開業を成功に結びつけるためには、どんな方針を打ち出すべきでしょうか。(Cさん・歯科医)

回答

歯科医の数は、すでに10万人を越えています。競争に負け、廃業する歯科医院も珍しくない時代なのです。

従来の診療だけでなく、新しい医療サービスにも取り組むべきでしょう。

歯科医療の新ジャンルとして注目され、業績を上げているのにインプラントがありますが、特別な資格は必要ないとはいえ、やはり専門の経験と技術が要求されます。

インプラントを扱うのでなければ、提案したいのは『予防とアフターケア』です。

歯科医院は「悪い歯を治療する所」ですから、治療が終了すると患者さんは来なくなる。

そこで縁が切れてしまうわけです。

つまり、新規の患者さんを確保し続けなければ維持していけないということになります。

医院といっても、その実はリピーターが少なく、いつも新規顧客の獲得に頭を悩ませている営業マンと変わりません。

保険点数の獲得以外に収益を得る手段がほとんどないのが現実です。

回転率を上げようとすれば、飛び込みの患者さんも受け入れたり、短時間の診療になったり、慌ただしい診療になりがちです。

予約しても待ち時間が長く、何度も通院させられれば、患者さんの評判も良いわけがありません。

再治療が必要になった時、別の歯科医院に流れてしまう悪循環になりかねません。

そこを打開していくには、まず治療が終わった後の患者さんと縁を切らない手立てを講じることです。

治療が終わっても「次に大事なのは、維持することですよ」とアピールして、予防やアフターケアの必要性を強調していき、『アフターケアNo.1のデンタルクリニック』という路線で差別化するわけです。

治療だけでは終わらない面倒見の良さと、丁寧さをセールスポイントにしていく戦略です。

分かりやすいキャッチフレーズを掲げた方がより効果的ですから、例えば「口内環境クリア」という言葉を作り、それを推進するクリニックという打ち出し方はどうでしょう?

そのキャッチフレーズの下に、治療の効果を維持して、新たに虫歯や歯周病などを誘発しないメンテナンス方法を伝授し、そこからも収益を獲得するようなシステムを構築する。

つまりアフターケアを収益化するのです。

専用の歯ブラシ、歯磨きを用意し、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方まで詳しく説明するのはどうでしょうか?

説明するのは歯科医でなく歯科衛生士でも構いません。

正しい歯の磨き方の映像を作り、そのDVDを見ればマスターできるようにするのもいいです。

要するに、デンタルクリニックならではの情報を発信して、アフターケアを役立ててもらうのです。

そしてまず、仙台で『アフターケアNo.1のデンタルクリニック』という評判を確立して、そこから収入源を見つけていく、こういった手法を『ローカルリーダーシップ利益モデル』と呼びます。

文字通りある地域でのリーダーになること、『地域1番店』を目指すモデルです。

「アフターケアNo.1」を東京で打ち出しても、目立たないでしょう。

どんなビジネスでもそうですが、顧客が多い所には競合もたくさんあります。

開店したては良い評判でも、あっという間に消えてしまう。

中長期にヒットを飛ばし続けるのは非常に難しいのです。

駅前立地

郊外立地

浮動客の獲得が容易。短期で結果が出しやすいが、固定客がつきにくい 浸透するまで時間がかかるが、固定客がつけば中・長期的に安定

特に、歯科業界を考えてみると、競争が激化している、インプラントは万一の事故のリスクがある、そこを避けてゆっくり腰を下ろして展開していきたいなら、ローカルリーダーシップ利益モデルがピッタリだと思います。

既存の競合と差別化するために予防とアフターケアを打ち出すのは、患者との縁を切らないためでしたが、これだけではありません。

次に考えたいのは『顧客の組織化』です。治療した患者さんを会員化し、囲い込むと共に、別の利益モデルを構築することも可能になります。

どんなビジネスにおいても。

顧客をしっかり囲い込むことは強みになります。

「芸能人(グループ)ファン=顧客」と考えれば、コンサートのチケットなども手堅い売上が見込め、グッズも売れていきます。

ジャニーズやAKB48などがこれに該当します。

ただ、歯科医院は芸能人のファンクラブと違って「特典がありますから、会員になりませんか?」と誘っても、簡単には入会してくれません。

まず、自然に人を入会に導くようなシステムを用意しておく必要があります。

そのためのスローガンが「口内環境クリア」です。つまり治療の品質を保証し、その後のアフターケアも100&保証しますとアピールすれば、誰でも治療の成果を維持したいですから、心が動くはずです。

ただ、メンテナンスサービスなど目に見えないものは正直売りにくいです。そこでクリニックオリジナルの歯ブラシや歯みがきを用意して実体を作ります。

例えば、忙しい朝用、出先でも使える昼用、時間によって歯ブラシを変え、休日には歯間ブラシなどでゆっくり手入れをする。

それぞれの使い方をしっかり指導して、定期的に販売する。見ながら歯磨きができるようなDVDを入会特典で渡したり、WEBでダウンロードできたりが可能なら、さらによいです。

定期的なメールマガジンの発行なども含めて、「口内環境クリア、アフターケアNo.1」を標榜するデンタルクリニックならではのサービスを提供していきます。

スローガン 口内環境クリア
会員特典 1.専用歯ブラシ・歯磨きの技術提供2.正しいアフターケアの指導、マスターするための映像の配布。メールマガジンなどでも定期的に情報を提供3.SNSを利用したコミュニティへの参加

例えば、TwitterやFacebookでデンタルクリニックのファンパージを作り、会員になった患者さん同士が情報交換できるような場にします。

「差し歯の具合がよくない」「義歯の噛み合わせがいまいちだ」など、治療直後は患者さんも情報を求めていますから、参加しやすいと思います。

もちろん、クリニックからも情報を発信します。

毎日のちょっとした出来事を綴った日誌風の記事で十分です。

日常的な接点があると患者さんとの距離が縮まり、愛着を持ってもらえます。

こういうサービスメニューを一式取り揃え、消耗品の歯ブラシ&歯磨きセットを毎月送ります。

それら込みで月会費1000円なら、入会する人も少なくないのではないでしょうか?

会員1人につき1000円×12ヶ月=年間1万2000円の収入が発生します。

診療報酬以外に『会員フィー』という新しい収益が発生するわけです。

こういったモデルを『販売後利益モデル』と呼びます。

代表的なものでいえば、コピー機やファクシミリ、PCなどの販売後の保守契約などが当てはまります。

月会費1000円で、会員数が100人なら月10万円。

1000人になれば、月100万円になります。

固定収入がこれだけ見込めるのは心強いでしょう。

消耗品とセットなので実体もありますし、継続する収入ですから。

重要なのは、会員は累積するということです。年月が経てば経つほど、累積効果で患者さんの数は増えていく。

もし1万人になったら、黙っていても月に1000万円も入ります。

保険点数を稼ぐことしか頭にない歯科医の場合、患者さんが累積していくという考え方はほとんどありません。

なので、新規患者をたくさん取ろうとするフロー型のビジネスになってしまうのです。

これをストック型に変えていく。

短期決戦型のビジネスは儲かりません。数をこなさなければなりませんし、不況が来たら終わってしまいます。

けれども、治療した患者さんとの縁を切らず、大事にしていれば財産になります。

会費という形で長期的な安定収入になる。

逆に安定収入があれば、多くの患者さんを回転していかなくても、1人ずつじっくり診るスタイルで成り立ちますから治療のクオリティも上がっていくでしょう。

患者さんも1回10分の治療に3ヶ月通院するより、1時間しっかり治療してもらって3回で終わる方がいいに決まっています。

そういうスタイルなら、ドクターと歯科衛生士1~2人くらいでやっていけ、人件費も抑えられます。

その上、親身に診療してくれる先生だということで、口コミで新しい患者さんもやってくる。

忙しい思いをせず、じっくり丁寧な診療に時間をかけられます。

首都圏のやり方に固執せず、ローカルエリアだからこそ強みを発揮するビジネスモデルを構築し、開業を成功させて下さい。

[ローカルリーダーシップ利益モデル]アフターケアNo.1じっくり診療 →他の歯科医院との差別化→丁寧な診療で信用を獲得。口コミ効果を狙う
[販売後利益モデル]患者の会員化月会費の徴収 →情報提供とケア用品販売による顧客の囲い込み→月会費徴収で安定した収入源を獲得


« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です