利益を生むビジネスモデル

ビジネスを考える上で、最も重要なのは「お金をどう稼ぐか」です。「利益を上げていく仕組み」がなければ、どんなに優れたビジネスモデルでも継続できません。

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PCソフトや携帯アプリなどを開発している企業に勤めています。

これから需要が増えると思われるアンドロイド関連の商品開発に乗り出す予定です。

そのプロジェクトの責任者あるいは企画担当になりそうなのですが、アプリケーションを開発するとしたら、どういう点に着目し、推進していけばよいでしょうか。(Jさん・IT企業勤務)

回答

スマートフォンに常駐しているOS・アンドロイド関連のアプリケーションは今後ますます普及していくことは間違いありません。

ここに搭載できるアプリケーションがヒットすれば、会社の売上アップに大いに貢献するでしょう。

注目されるテーマはいくつかあります。

その1つはライフラインと位置づけることです。

そこから派生するアプリケーションを考えるとよいのではないでしょうか。

例えば、スマートファンがあれば航空機の搭乗まで可能です。

航空会社のHPにアクセスし、そこで空席状況を見ながら乗りたい便をクレジットカード決済で申し込むと、そのまま搭乗券まで入手できるのですが、便と座席を指定してカード番号を入力すると、決済完了画面に受け付け番号が表示され、その番号とクレジットカードのセキュリティ番号(裏面に記載されている3桁の番号)を入力すると、QRコードが発行されます。

そのQRコードをスマートフォンに表示させ、空港の搭乗口にあるリーダーに読み取らせれば、ペーパーレスで搭乗できるのです。

つまり、手続きから決済、個人の特定までスマートフォンでできる。

QRコードと連動することで、スマートフォン自体が認証機能を持つ存在に進化しているのです。

スマートフォンを使った『認証ビジネス』には新しい可能性を感じます。

例えば、病院の診察券。月が変わると必ず保険証の提示を求められますが、スマートフォンとQRコードの認証システムがあれば、そんな手間が不要になります。

認証が必要な全てのシーンで、ビジネスチャンスが発生するわけです。

認証機能を活用したセキュリティ面でも注目です。

ホテルやフィットネスクラブで個人認証キーをスマートフォンに組み込めるようにすれば、モノとしてのカードやキーは必要なくなります。

個人認証が明確になることで、スマートフォンを中心にしたセキュリティフリーの世界が構築可能になっていく。

そこにも商機があると思います。

次のテーマは『課金シームレス』です。

SuicaやPASMOなどの乗車カードは、切符の代替として搭乗しましたが、今では電子マネーとしても使われています。

駅の売店や構内施設であれば、リーダーにかざすだけで買い物ができるようになりました。

ところが、路線が変わったり、エリアを離れたりすると使えなくなるでしょう。

鉄道会社ごとに使えるカードが違うのは利用者にとって結構面倒くさいものです。

次第に解消されていくでしょうが、課金シームレスにもやはりビジネスチャンスがあります。

『認証』と『課金』は、今後期待できそうです。

そもそも物販などのビジネスを始める場合、ハードルになるのもこの2つです。

セミナーや後援会を開催する時も、参加費の支払いが現金の場合、集客力が落ちます。

「現金払いか……」で二の足を踏む人がことのほか多いのです。

利用者にとってはカード払いが便利なのですが、カード会社に12%程度の手数料を取られてしまうでしょう。

1万円の商品を売っても1200円をカード会社に支払わなければならないとすると、利益率はかなり下がります。

しかし、スマートフォンで課金できればどうでしょう。

通信料金と一緒に引き落とされれば、今後はNTTdocomoなど携帯キャリアが主体になりますから、カード会社より手数料は下がるはずです。

そうなれば各キャリアの商機であり、ビジネスを立ち上げようとする人にとっても確実な商機になります。

FeliCaはソニーが開発した技術で、携帯電話用のチップを搭載することで、EdyやSuicaなどの電子マネーが携帯電話で使えるようになりました。そ

のサービスを最初に始めたdocomoの『おサイフケータイ』が事業者を横断するサービスブランドとして定着しました。

現在ではチップの製造を数社が手がけ、業界標準の技術になっています。

このようなモデルを『デファクトスタンダード利益モデル』といいます。

スマートフォン搭載のOSとなったアンドロイドも正にこのモデルです。

現実的には技術力と資金力を有する企業でないと『業界標準』になるビジネスデザインを構築していくのは困難ですが、課金と認証を結びつくシステムを開発できれば、FeliCaのような成果を上げるのも夢ではありません。

スマートフォンでの認証と課金が可能になれば、『顧客属性』まで手に入れられます。

プロフィール機能が搭載されていれば、スマートフォンでピッとやってもらった瞬間、利用者の属性まで読み取ることができる。

それをストックしていけば、こちらからリサーチしなくてもマーケティングに利用できます。

コンビニのレジで導入されているPOSシステムが、スマートフォンを経由することで可能になるわけです。

ビジネス展開に必要な顧客属性の入手、これも見逃せないポイントです。

ある調査では、2011年度の携帯電話の普及予測は4000万台、そのうち半分がスマートフォンに置き換わるといわれていたそうです。

ところが、Googleの調査によると、スマートフォンの普及率はまだ6%だったそうです。

逆に2012年度以降はかなりのペースで置き換わっていくと予想されています。

iPhoneのAppleはずっとクローズド戦略でやってきた企業です。

iPodやiPadの大ヒットで盛り返しましたが、かつてはPCで苦戦していた時代がありました。

それに対して、FeliCaやアンドロイドは誰が使っても構わないというオープン戦略です。

デファクトスタンダードにしていくことを狙って一挙に普及させていく。

これで大成功したのが韓国のサムスン電子です。

アンドロイドというOSを徹底的に利用することで、スマートフォン市場の世界基準になりました。

そう考えていくと、アンドロイドのアプリケーションは今後、飛躍的に増えていくはずです。

すでに先行して結果を出しているビジネスがあります。

そのビジネスをモデル式で表したものが現在5つあります。

1つ目のモデル式は、GPS機能の活用です。

JR東日本では、駅員にタブレット端末を支給しています。

お客様に何か聞かれた時の検索のためと、GPSを活用した道案内のためだそうです。

現在位置から説明できるから分かりやすいでしょう。

タブレットには翻訳機能もついています。

外国人に質問された場合もある程度は対応できます。

これをモデル式で表現すると、モデル式1【情報提供・地図・翻訳×(かける)X=円滑なコミュニケーション】となります。

Xに入るものはたくさんあるでしょう。

交番のお巡りさん、旅行会社の添乗員、ホテルのコンシェルジュとか、色々なニーズが考えられます。

2番目は自転車用のアプリです。

自動車用のカーナビはあっても、自転車用はありませんでした。

そこに着目して、auが自転車のルート検索や音声案内の機能を備えたアプリ配信をスタートしています。

経路検索サービスのナビタイムジャパンと共同開発したもので、最短距離だけではなく、坂道の多さ、表通り・裏通りを選んで、ルート検索ができたり、走行時に音声で道案内したりする他、画面に速度が表示されます。

これをモデル式にすると、モデル式2【X→Y(GPS+ナビ)】自転車ブームに乗るという考え方に、GPSを使ったナビサービスを利用したので、X=自転車になります。

だから応用しようと思えば、XとYに当てはまるものを探していけばいいのです。

まず、考えられるのは認知症のお年寄り用のお出かけアプリです。

位置情報が分かれば、徘徊された時に周囲が探し回らなくて済みます。

幼児用にも転用できそうです。X=高齢者または幼児というパターンです。

観光地用アプリなら、名所・旧跡などの観光スポットをナビしてくれたり、地元の人気店や名物を案内してくれたら便利でしょう。

観光地専用のナビサービスは需要があると思います。

これだとX=観光地になります。

これらのビジネスは『GPS利益モデル』に該当します。

シューズにとりつけたキットでランニング情報を無線でiPodと連携させるNikeシューズのように、ランニング時に発生する無意識な情報をメタデータと呼びますが、このデータを管理することが今後のビジネスの主流になりそうです。

つまり、スマートフォンにアプリを入れていく発想だけでは限界があります。

例えば、講義の出席情報や休講情報をスマートフォンでチェックできるアプリを開発したとします。

便利だなとは思いますが、買わないでしょう。

要するにタダで使いたいアプリだからです。

やはり何か具体的な対象物があって、そこからデータを飛ばして、スマートフォンで管理できるようなシステムを構築しないと収益化に繋がるアプリにはならないと思われます。

そこに着目したのが、docomoとオムロンがコラボした健康管理サービスです。

オムロンが手がけるFeliCa機能付きの体重計や血圧計などの測定データをスマートフォンに転送。docomoのサーバーに携帯電話回線でデータを集め、利用者に応じたダイエットや食事指導などの情報をアプリで提供するというものです。

これをモデル式化すると、モデル式3【(X+FeliCa)×(スマホ+Y(新アプリ))】となります。

X=体重計または血圧計です。

つまり、Xの健康管理機器を思い付けば遠隔医療や健康情報サービス用の新アプリという発想が浮かぶわけです。

健康や医療だけとは限りません。

端末になるモノを想定する。

例えば、ロボット型掃除機にFeliCaを搭載して掃除状況を管理するとか、FeliCaからデータを飛ばして管理するという需要がありそうなものならなんでもいいのです。

発想するためには、同じような事例から考えていくことが重要だと思います。

モデル式がその手がかりになります。

利益を上げるパターンが理解できれば、自社のビジネスの方向性、過去のコンテンツを活用する糸口などが見つけやすくなります。

発想のヒントが具体的であればあるほど、新しいアイデアが浮かんでくるのではないでしょうか。

4番目は車とスマートフォンの組み合わせです。

車を情報端末として考えた場合、色々な可能性が考えられます。

例えば、車のボディをCRT画面にしておけば、マイカーを広告媒体にできる。

これは飛躍しすぎかもしれませんが、車の中でやりたいことは結構あるのではないでしょうか。

モデル式4【スマホ(アプリ)×車(端末)=X】Xは車内でできることです。

車に乗っている時間は長いのに、音楽を聴いたりテレビを見たりする程度。

車内にいる時間を有効活用するためにスマートフォンに何を搭載したらいいでしょう。

語学のヒアリングをしたり、単語を覚えたり、資格試験の勉強、塾への送り迎えの間に使える受験用アプリとか、落語や講演会を聞くアプリとか、可能性は色々あると思います。

最後のモデル式は、『ぴあ』が電子書籍として復活したことがヒントになっています。

毎週金曜更新で、PCやスマートフォンから無料で閲覧できるようになっています。

ただ、広告収入だけだとなかなか収益は上がりません。既存の『チケットぴあ』との兼ね合いが難しいですが、チケットぴあがない地方限定でチケット販売と連動していく方法などが考えられます。

『ぴあ』はインターネットの普及で、情報提供のスピードや正確性、検索性も太刀打ちできなくなって廃刊しました。

つまり、デジタルに負けたアナログ衰退産業です。

でも、ぴあのブランドがあったから復活できました。

同じようなアナログ衰退産業は色々あります。

成功しているのが、受験参考書で知られる旺文社です。

『ターゲット1400』など参考書のコンテンツをゲームプラットフォームに売り、ニンテンドーDSに載せたのです。

アナログの参考書だけでは先細りですが、ゲーム端末というチャンネルが増えたわけです。

デジタルコンテンツを渡すだけで、紙代もいらないから売上は大きくないものの高収益になりました。

モデル式はこうなります。

モデル式5【アナログ衰退産業X→スマホアプリY化】過去の資産をデジタルデータ化して収益を上げるケースはたくさんあります。

レコードやカセットのアナログ時代に活躍していた人たちの音源は、ファンにとっては垂涎の的でしょう。

過去の資産をデジタル化するだけで収益が上げられる。

アプリ化のチャンスもたくさんあると思います。5つのモデル以外にも考える余地はまだまだあります。

重要なのは、「どうやったら利益モデルに組み込めるか?」「複数の利益モデルを効果的に取り入れられないか?」「継続的に収益を取り続けるモデルは何か」を考えることです。


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